日本大百科全書(ニッポニカ) 「商業数学」の意味・わかりやすい解説
商業数学
しょうぎょうすうがく
商業取引に関する計算を扱う数学の一分野。商業数学という名称はしだいに用いられなくなってきており、その内容は、数学的手法の普遍化とともに商業学の関連分野へ吸収され、あるいは商業経営の問題として経営数学のなかで再整理される傾向にある。商業数学のもっとも初期のものは、欧米で発達した商業算術であった。それは、度量衡計算、売買数量・売買代金・売買損益の計算、貸借金の利息計算などを中心とするものであった。商業を広義に解すれば保険が含まれ、かなり高度の計算が発達してきているが、これらは保険数学(保険数理)として別扱いするのが普通である。商業算術を超えるものとして商業数学を考える場合には、商業経営の賃金計算、費用計算、経営分析計算、財務・投資決定の計算などをも含めることになるが、これらは経営数学とよばれる分野になる。結局固有の商業数学は、商業算術しか残らないことになり、このことばはほとんど用いられなくなっている。
[森本三男]