善入寺島(読み)ぜんにゆうじしま

日本歴史地名大系 「善入寺島」の解説

善入寺島
ぜんにゆうじしま

吉野川の中流・下流域にある中洲。南を流れる吉野川本流とその分流の善入寺川(かつては粟島川)に挟まれ、あわ(阿波島)とも称された。東西幅約六キロ、南北幅約一・二キロ、面積約五〇〇ヘクタールで、吉野川流域では最大規模の中洲となっている。その大部分が北岸の阿波郡市場町と南岸の麻植おえ川島かわしま町に属し、また一部は板野郡土成どなり町・吉野町および麻植郡鴨島かもじま町にわたる。現在は抜水橋の阿波麻植大橋のほか、千田ちた橋・川島橋・学島がくしま橋などの五本の潜水橋で、南岸と北岸が結ばれている。伝承では粟島は忌部氏が粟を植えたところ豊穣であったためにその名があるという。死体を投げ入れる極楽坑の風習が長く続き、仏事を営まなかったとされるが、これは川の浄化作用による清めであり、神聖な島とみられていたようである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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