日本大百科全書(ニッポニカ) 「営業日誌」の意味・わかりやすい解説
営業日誌
えいぎょうにっし
営業日記、日記帳ともよばれ、事業において日々発生する営業上の取引の内容を発生順に記録する帳簿。営業の歴史的記録であるとともに、証拠書類や会計取引の仕訳記入への準備資料としての役割を果たす。歴史的には、たとえば、中世ドイツのリューベックに住んだ商人ウィッテンボルク家の日記帳、フッガー家のイタリア式簿記などが現存し、わが国でも伊勢(いせ)出身の呉服商富山(とみやま)家の日記帳などにみられる。現在でも小規模事業や支店レベルではこうした日誌は残っているが、この段階では会計帳簿とはいえず、取引発生順に通常の文章で記録するにすぎない。正式の帳簿組織体系の成立とともに、営業日誌の会計取引記録機能は、仕訳日記帳、日計表などに転換された。
[佐藤宗弥]