改訂新版 世界大百科事典 「会計帳簿」の意味・わかりやすい解説
会計帳簿 (かいけいちょうぼ)
企業が財産と損益の状況を明らかにするため作成する帳簿で,会計事実の原始的記録である日記帳,これを貸方借方に仕訳する仕訳帳およびこれを勘定として整理する元帳などの主要簿とそれらを補充する各種の補助簿がある。すべての商人は会計帳簿を作成し,(1)開業のときおよび毎年1回一定の時期における営業上の財産およびその価額,会社では,成立のときおよび毎決算期における営業上の財産およびその価額,(2)取引その他営業上の財産に影響を及ぼす事項を記載しなければならない(商法33条1項)。会計帳簿のうち元帳には,企業のいっさいの勘定が組織的に分類整理され,企業の動態である期間損益を表す集合損益勘定と企業の静態である財産残高を表す決算残高勘定のいずれかに集結される。前者は損益計算書として企業の経営成績を表し,後者は貸借対照表として企業の財政状態を表すことになり,企業の利害関係者に対する情報提供の基礎となる重要な記録である。会計帳簿に記載される財産の評価については,流動資産,固定資産および金銭債権に分けてそれぞれ商法に規定があるが(商法34条),株式会社および有限会社については特則がある(商法285条以下,有限会社法46条)。会計帳簿は貸借対照表とともに商業帳簿を構成し,その作成に関する規定の解釈については〈公正ナル会計慣行〉を斟酌(しんしやく)しなければならない(商法32条)。監査役,株主などは会計帳簿を閲覧する権利を有する(274条,293条の6)。
→商業帳簿
執筆者:西山 忠範
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報