四壁林(読み)しへきばやし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「四壁林」の意味・わかりやすい解説

四壁林
しへきばやし

屋敷の周りに植えられた樹木や林をいう。屋敷周りへの植林は、自家用材の補給のみならず、防火、風砂除(よ)け・潮除け、盗難除けなどの目的で植林された。江戸時代には、領主によって四壁林の植林が奨励され、苗木を提供したり、植立証文を交付することもあった。検地に際しては、屋敷は四方1間ずつ四壁引(びき)と称して免除されたが、屋敷周りに林がある場合は、その四壁林も免除された。四壁林の名称は、居久根林(いくねばやし)、居林(いばやし)、居藪(いやぶ)、家懸林(いえがかりばやし)、屋敷周り木、附軒木(つきのきぎ)、屋敷添(やしきぞえ)など、地方によって異なった。

[川鍋定男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の四壁林の言及

【里山】より

…奥山に対して人家の近くにある山をいうが,厳格な定義はない。古くから四壁林(しへきばやし),地続山(ちつづきやま)といわれていたのは,集落の周辺の山,田や畑に接続する山を意味し,里山は村落での生活の燃料採取の場であり,田畑の肥料の給源であった。したがって,村民共同で入林する入会山(いりあいやま)であった。…

※「四壁林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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