四座講式(読み)しざこうしき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四座講式」の意味・わかりやすい解説

四座講式
しざこうしき

明恵 (みょうえ) 上人のつくった声明釈迦の徳を慕う念を漢文にしたもので,真言宗において涅槃会 (ねはんえ) にうたわれる。「涅槃講式」「十六羅漢 (らかん) 講式」「如来遺跡 (にょらいゆいしゃく) 講式」「舎利 (しゃり) 講式」の四部 (四座) 作から成る講式で,講式とは日本語の歌詞をもち,散文形式による「語る声明」のジャンルをいう。国語学的には鎌倉時代の音韻資料となる。多くの写本・版本があるが,そのうち旋律を表わす音譜 (墨譜節博士〈ふしはかせ〉という) のついた譜本は鎌倉時代のアクセント資料として特に重視されている。

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世界大百科事典(旧版)内の四座講式の言及

【講式】より

…講式は平安時代にあらわれ,最澄に《薬師如来講式》があったと伝えられる。源信に《十楽講作法》《六道講式》(二十五三昧作法),真源に《順次往生講式》,覚鑁(かくばん)に《愛染王講式》,貞慶に《五段舎利講式》,明恵に《舎利講式》《遺跡講式》《涅槃講式》《十六羅漢講式》(以上四座講式),覚如に《報恩講式》などがある。 講式は読みくだし漢文の形で綴った叙事的な詞章に,語り物ふうの曲節が付されており,和讃とともに声明の代表的なものとされている。…

【涅槃会】より

…常楽とは,涅槃の四徳の中の常楽,すなわち常住にして移り変りなく,苦もなく楽ある意より称したもので,《三宝絵詞》《年中行事抄》《拾芥抄》などにも見える。鎌倉時代に笠置寺貞慶や高山寺明恵が四座講式(涅槃講式,羅漢講式,遺跡講式,舎利講式)などを著作するにいたって,諸寺で盛んに行われたようで,高野山金剛峯寺の涅槃図を最古として,多くの涅槃図が伝えられている。【堀池 春峰】。…

※「四座講式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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