日本大百科全書(ニッポニカ) 「回分操作」の意味・わかりやすい解説
回分操作
かいぶんそうさ
batch operation
古いかまどでパンを焼くときのように、生産設備に原料を1回分仕込んで製品をつくり、これを取り出したあとにまた新しい原料を仕込んで生産する作業方式のことであり、バッチ操作ともいう。原料を一定速度で生産設備に連続的に送入し、他方で製品を連続的に取り出す連続操作continuous operationに対する方式である。回分操作では、間欠的に原料を仕込み、製品も間欠的に取り出すばかりでなく、製造条件(温度、圧力など)も運転中に時間とともに変化するので、製造条件が時間的に変化しない連続操作に比べて、運転や制御に人手を要し自動化しにくく製品の品質も各回ごとに異なりやすい。概して、生産量が少なく製造時間が長くかかる場合に、生産設備に要する費用(固定費)が少なくてすむので有利である。製品の市場需要が変動する場合や、汎用(はんよう)設備で原料を少しずつ変えたり、製造条件を変化させたりして多品種の製品を少量ずつ生産する場合にも用いられる。
[早川豊彦]