回転電極(読み)カイテンデンキョク

化学辞典 第2版 「回転電極」の解説

回転電極
カイテンデンキョク
rotating electrode

対流ボルタンメトリーに使われる円盤状の回転する作用電極.円盤の中心を通り,これに垂直は方向を回転軸として電極を回転させる.電極の回転速度をかえることにより,電極上で反応する物質の供給速度を制御することができる.酸化体Oがn電子反応で還元体Rに還元される電極反応

O + ne → R
は,物質Oの電極表面への拡散過程と電極-溶液界面での電子授受反応である電荷移動過程からなる.作用電極を陰極として外部から電圧を印加して分極すると,この反応が加速されるため電気分解で流れる電流は増加する.さらに印加電圧を増加させると,Oの電極表面への供給が間に合わなくなり,Oの拡散律速となる.このような状態では,印加電圧を増加しても反応速度(電流)が変化せず,一定電流となる.このときの電流を拡散限界電流 iL という.iL と電極の回転速度ω(rad s-1)の間には次式で表されるレビッチ(Levich)の式が成立することが知られている.

iL = 0.620nFAcD 2/3ν-1/6ω1/2

ここで,Aは電極面積(cm2),cは反応種の濃度(mol cm-3),Dは反応種の拡散係数(cm2 s-1),νは溶液の動粘度(cm2 s-1).[別用語参照]ボルタンメトリー

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報