同一平面上の2直線が交わってできる角が直角であるとき、2直線は垂直であるという。点Aを通って直線lに垂直な直線がlと交わる点をHとするとき、線分AHをAからlへ下ろした垂線といい、Hを垂線の足、線分AHの長さを垂線の長さという。このAHは、Aからlに至る線のなかで長さのもっとも短いものである。
空間での垂直を次のように定義する。
〔1〕2直線の垂直 2直線l、l′に対し、点Oを通ってそれぞれに平行に引いた2直線が垂直であるとき、lとl′は垂直であるといい、l⊥l′と書く。点Aとこれを通らない直線lがあるとき、Aを通ってlに垂直に交わる直線を引き、その交点をHとするとき、AHをAからlに下ろした垂線という。
〔2〕直線と平面の垂直 直線hが平面α上のすべての直線に垂直のとき、hはαに垂直であるといい、h⊥αと書く。直線hが、平面α上にあって平行でない2直線に垂直のとき、hはαに垂直である。平面α上にない点Aを通ってαに垂直な直線がαと交わる点をHとするとき、線分AHをAからαへ下ろした垂線といい、Hを垂線の足という。垂線AHは、Aからα上の点に至る線のなかで、長さのもっとも短いものである。
〔3〕2平面の垂直 2平面α、βのつくる角が直角のとき、αとβは垂直であるといい、α⊥βと書く。これは、α、βの交線上の点を通って、各平面上で交線に引いた垂線が垂直になっている場合である。直線hが平面αに垂直のとき、hを含む平面はαに垂直である。
[栗田 稔]
平面α上にない点A、α上の直線l、l上の点K、α上の点Hについて次の定理が成り立つ。これらが三垂線の定理である((1)だけを三垂線の定理、(2)(3)をその逆ということもある)。
(1)直線AH⊥α, HK⊥lならばAK⊥l
(2)直線AH⊥α, AK⊥lならばHK⊥l
(3)AH⊥HK, HK⊥l, AK⊥lならばAH⊥α
[栗田 稔]
(1)平面上で直角座標を考えるとき、直角成分が(a1, a2), (b1, b2)である二つのベクトルが垂直であるための条件はa1b1+a2b2=0である。また、2直線
y=m1x+k1, y=m2x+k2
が垂直であるための条件はm1m2=-1である。
(2)空間で直角座標を考えるとき、直角成分が(a1, a2, a3), (b1, b2, b3)の二つのベクトルが垂直であるための条件は
a1b1+a2b2+a3b3=0
である。また、平面
ax+by+cz+d=0
については、(a, b, c)はこの平面に垂直なベクトルの直角成分で、2平面
ax+by+cz+d=0, a′x+b′y+c′z+d′=0
が垂直になるための条件は
aa′+bb′+cc′=0
である。
[栗田 稔]
l,mを空間内の異なる2直線とする。lとmが交われば,これら2直線は一平面上にあって,交点Qを頂点とする四つの角ができ,その一つが直角ならば他の角もすべて直角となる。このときlとmは垂直である,または直交するという(図1)。lとmが交わらない場合も,1点を通ってそれらに平行にひいた2直線が直交するならば,lとmは垂直であるという(図2)。lとmが垂直であることをl⊥mで表す。一直線lと一平面αが1点で交わり,交点Qを通るα上の二つの直線がlと直交すれば,α上のすべての直線はlと垂直となる。このときlとαは垂直である,または直交するといい,l⊥αと表す(図3)。異なる2平面α,βが交わっていて,その交線lにおいてつくる2面角が直角のとき,すなわち,lに垂直な平面とα,βとの交線m,nが垂直のとき,αとβは垂直である,または直交するといい,α⊥βで表す(図4)。
執筆者:中岡 稔
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