改訂新版 世界大百科事典 「固有反射」の意味・わかりやすい解説
固有反射 (こゆうはんしゃ)
proprioceptive reflex
筋,腱,関節,前庭迷路などにあって,身体の位置や動きに関する情報をもたらす受容器(筋紡錘,ゴルジの腱器官,関節の受容器,前庭迷路受容器)を固有受容器といい,固有受容器に対する適当な刺激によって引き起こされる反射を固有反射という。この反射は筋緊張,直立姿勢の維持等に関与する反射である。除脳動物(脳を切除するか,中枢神経を切断した実験動物)でみられる緊張性頸反射,緊張性迷路反射も固有反射で,それぞれ頸筋の筋紡錘および前庭迷路が刺激されて四肢の筋の張力が変化する姿勢反射である。しかし,固有反射という言葉は,狭義には,反射を引き起こす刺激の受容器が反射運動を行う効果器自体の中にある場合に用いられ,その意味では自己受容反射ともいわれ,筋紡錘が伸展刺激を受けた結果その筋紡錘を含む筋が収縮する反射である伸展反射と同義に使われる。
執筆者:大野 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報