ゴルジ(読み)ごるじ(英語表記)Camillo Golgi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴルジ」の意味・わかりやすい解説

ゴルジ
ごるじ
Camillo Golgi
(1843―1926)

イタリアの解剖学者、病理学者。北イタリアのコルテノに医師の子として生まれ、パビア大学で医学を修め、1865年に卒業した。アビアテグラッソの病院医師、シエナ大学教授を経て、1881年パビア大学の病理学教授となり神経解剖学の研究を進めた。1873年に神経組織を硝酸銀によって染色する方法を開発し、この方法によって、ゴルジ細胞神経膠(こう)細胞)、ゴルジ装置、ゴルジ小体などを次々に発見して、神経組織の微細構造を明らかにした。1906年には、その業績により、論敵ラモン・イ・カハルとともにノーベル医学生理学賞を贈られた。晩年には、マラリアの研究者、元老院議員としても活躍した。ゴルジ染色法は今日も高く評価され、頻繁に用いられている。

[澤野啓一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴルジ」の意味・わかりやすい解説

ゴルジ
Golgi, Camillo

[生]1843/1844.7.9. コルテナ
[没]1926.1.21. パビア
イタリアの医師で神経学者。パビア大学教授。 1873年硝酸銀を使って神経細胞と神経線維を染める方法を案出した。これは神経系のより微細な構造探究の鍵となり,83年,軸索と枝分れした短い樹状突起で他の神経細胞と連絡している細胞 (ゴルジ細胞) を中枢神経系に発見した。この発見はのちにニューロン説を導き,近代神経学の基礎となった。組織学の業績のほかに,マラリアの研究でも有名で,四日熱と三日熱は病原の原虫が違うこと,マラリアの発作は,原虫の胞子分裂と時を同じくすること,病気の重さは血液中の原虫数に比例することなどを証明した。ペラグラと精神病についても重要な研究がある。神経系の構造を明らかにした業績で,スペインの S.カハルとともに 1906年のノーベル生理学・医学賞を受賞。

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