イタリアの組織学者,病理学者。パビア大学を卒業後,同大学の組織学と一般病理学の教授を歴任した。脳病理学に興味をもち,1873年には神経間の連関を探査するのに有効な,重クロム酸塩と硝酸銀を用いる新染色法〈黒い染色〉を開発し,神経解剖学に一時代を画し,みずからもその手法で多大な成果を挙げ,1906年にはノーベル医学・生理学賞を受賞した。しかし,彼は自分の染色法に強く影響された共同受賞者のラモン・イ・カハールのニューロン説に反対し,網状説=吻合説を主張した。神経間のつながりは枝分れした神経末端どうしの吻合による網状体であると考えたのである。ほかに細胞学に影響を及ぼした研究としては,神経細胞の細胞質に,現在ゴルジ体と呼ばれる細胞内構造体を1898年に発見したことがあり,病理学では1885-93年にマラリアの生活環と病理学的変化,発熱,治療効果の関係についての研究がある。
執筆者:鬼頭 秀一
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イタリアの解剖学者、病理学者。北イタリアのコルテノに医師の子として生まれ、パビア大学で医学を修め、1865年に卒業した。アビアテグラッソの病院医師、シエナ大学教授を経て、1881年パビア大学の病理学教授となり神経解剖学の研究を進めた。1873年に神経組織を硝酸銀によって染色する方法を開発し、この方法によって、ゴルジ細胞(神経膠(こう)細胞)、ゴルジ装置、ゴルジ小体などを次々に発見して、神経組織の微細構造を明らかにした。1906年には、その業績により、論敵ラモン・イ・カハルとともにノーベル医学生理学賞を贈られた。晩年には、マラリアの研究者、元老院議員としても活躍した。ゴルジ染色法は今日も高く評価され、頻繁に用いられている。
[澤野啓一]
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…ゴルジ装置Golgi apparatus,ゴルジ複合体Golgi complexなどとも呼ばれる。ゴルジC.Golgi(1898)により発見された硝酸銀または酸化オスミウムOsO4によって染色される網状の細胞小器官。…
※「ゴルジ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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