日本大百科全書(ニッポニカ) 「国神」の意味・わかりやすい解説
国神
くにつかみ
国津神、地祇(くにつかみ)とも記す。主として記紀神話の天神(あまつかみ)、天神之御子(あまつかみのみこ)に対応して用いられる神。一般には高天原(たかあまのはら)にある天神に対して、葦原中国(あしはらのなかつくに)にある神をいうとされる。『古事記』では国神として大山津見神(おおやまつみのかみ)、猿田毗古(さるたひこ)神、椎根津日子(しいねつひこ)などを、『令義解(りょうのぎげ)』の「神祇」では地祇として大神(おおみわ)、大倭(おおやまと)、葛木鴨(かつらぎのかも)、出雲大汝(いずもおおなむち)神などを、そして『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』では地祇として大国主命(おおくにぬしのみこと)、海神綿積豊玉彦(わたつみわたつみとよたまひこ)命、椎根津彦(しいねつひこ)命などをあげている。また『日本書紀』では、その土地固有の神、未平定地の神、外国の神に対して日本の神などをもさし、『万葉集』では人間の国土を支配し守る神をさしている。このように国神の性格、内容は種々の要因を含み複雑である。
[森安 仁]