…中世の仏教による地鎮祭は地鎮法と呼ばれ,鎮物には五穀,五色玉などが用いられた。しかし中世の建築工事の記録を見ると,一般に手斧始(ちようなはじめ)(釿(ちような))に先立つ建築儀礼としては,礎(いしずえ)(礎石を据え付けるときの祭事)や地引(じびき)または鋤始(すきはじめ)(整地開始の祭事)を行うものが多く,地鎮祭(土公祭(どこうまつり)とも呼ばれた)を行っている例は少ない。江戸時代の大工技術書を調べてみても,地鎮祭が建築儀礼のなかで重要な位置を占め,それに応じて儀式の形式などが整えられるのは,江戸時代後半以降と考えられる。…
…春は竈(かまど),夏は門,秋は井,冬は庭におり,正月より12月までは,丑から子までにそれぞれ相当する方角の土を取ればたたりありとされた。鎌倉幕府は建築造作をするときあらかじめ土公祭を営み牛を牽(ひ)く作法があった。近世民間では神楽に土公祭の習合したものが山伏の手で演ぜられ,あるいは声聞師(しようもじ)や地神盲僧の徒が荒神(土公)の祭文を読み竈神をまつった。…
※「土公祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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