デジタル大辞泉 「陰陽師」の意味・読み・例文・類語
おんよう‐じ〔オンヤウ‐〕【▽陰陽師】
[類語]霊媒・占い師・易者・八卦見・手相見・
中国発祥の陰陽道と称する特殊な方術の占法をもってすべての吉凶災福を察知し,これに処するための呪術作法を行う宗教家で,方士,方術士,方伎士などとも呼ばれる。官僚としては684年(天武13)2月,新都選定の卜占に派遣された記事が初見で,律令制下では陰陽寮に6人の定員がおかれ占筮相地等をなし,地方では大宰府はじめ東海・東山・山陰・西海各道や陸奥鎮守府に配置された。平安時代,民間では播磨国に海賊を呪縛した智徳なる名人をはじめ法師陰陽師の活躍がみられたし,京都一条堀川の戻橋辺では陰陽師団が斯道の達人安倍晴明にゆかりの伝承を説き,みずからを権威づけるところがあった。また宮廷陰陽師の行った祭りには泰山府君祭,鬼気祭,属星祭,土公祭,天曹(てんちゆう)地府祭,四角四境祭,雷公祭,三万六千神祭など50に近い種類があり,七瀬祓,河臨祓など神道の祓に近い作法もあった。とくに泰山府君は冥府の王で人間の生命を左右すると信じられ,病気平癒,長寿延命を祈って盛んにまつられ,その祭文を都状と呼ぶ。邪気を鎮め祓うのに反閇(へんばい),呪咀,身固(みがため)等の作法もあり,後世修験者にもとりいれられた。鎌倉幕府は安倍氏を多数陰陽師に招き,武家要人の護身や建築造作の安全祈願に当たらせた。南北朝の争乱以後,陰陽道界における賀茂・安倍両家の支配体制は崩れ,民間陰陽師の活動が激化した。江州甲賀では竈祓(かまばらい)を業とする声聞(しようもん)師の陰陽師集団が活躍し,大和では山伏形の陰陽師が読んだ牛頭天王(ごずてんのう)の祭文が残っている。江戸初期,土御門(安倍)家が復興されたとき,摂津,河内,若狭方面の同家従者たちは歴代組を結成し,その中に総目付役,横目付役,能頭,組頭,小頭等の序列をつくり,朝廷の陰陽道祭である天曹地府祭に具官として奉仕した。1683年(天和3)土御門泰福のとき,同家には全国の陰陽師を統轄して免許を与える権限が朝廷より与えられ,造暦のことも同家の支配下に入った。
執筆者:村山 修一
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「おんようじ」ともいう。大宝令(たいほうりょう)の制で陰陽寮や大宰府(だざいふ)に置かれた方術専門の官人。占筮(せんぜい)や地を相して吉凶を知ることをつかさどったが、平安時代になり陰陽寮のつかさどった天文、暦数、風雲の気色をうかがう方術を陰陽道とよぶようになると、陰陽師もそれらの方術を使う者すべての名称となった。平安中期に賀茂忠行(かものただゆき)が出てこれを世業化して賀茂家というが、子の保憲(やすのり)系統は暦道を中心とし室町中期から勘解由小路(かでのこうじ)家、ついで幸徳井(こうとくい)家とも称した。忠行・保憲の高弟の安倍晴明(あべのせいめい)の流れは天文道を主とし、室町中期以後は土御門(つちみかど)家という。これを求めたものは古代の貴族層のみならず、中世以後は武家、近世になると庶民にまで広がった。
[下出積與]
陰陽道の呪術により吉凶の判定や除災などを行う術士。684年(天武13)が初見で,令制では陰陽寮に6人,大宰府に1人と規定され,のち鎮守府や辺境諸国におかれた。平安中期以降,物忌(ものいみ)・方違(かたたがえ)などの陰陽道禁忌が確立し,おもに安倍・賀茂両氏が陰陽師として活躍,陰陽頭・陰陽博士などについて,天皇・貴人のための占いや除災の法を行った。賀茂氏(勘解由小路(かでのこうじ)家)は戦国期に廃絶したが,安倍氏の後裔である土御門(つちみかど)家は江戸時代に全国に広まっていた民間の陰陽師の支配を認められた。明治期以降に自然消滅した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 占い学校 アカデメイア・カレッジ占い用語集について 情報
…その占験の能力についての神秘的な伝説は,古くから数多く伝えられている。《今昔物語集》には,識神(式神)(しきがみ)(陰陽師が術を用いて駆使する神)を自在に駆使して老僧との術くらべに勝った話や,草の葉を投げて蛙を殺した話が載せられており,後世,日本第一の陰陽家としてあがめられた。1005年9月26日没。…
※「陰陽師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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