改訂新版 世界大百科事典 「均徭」の意味・わかりやすい解説
均徭 (きんよう)
Jūn yáo
中国,明の徭役制度の一つ。明代の徭役は里甲正役と雑役に大別され,時代の下るとともにその負担は増大した。とくに雑役は,明初には国家の必要に応じて随時割り当てられたが,時代とともに国家機構が膨張するにつれて,その負担が重くなり,種類も増加した。そこで雑役負担の均衡(定期化,定量化)をはかるため制定されたのがこの均徭法である。1443年(正統8)ころ按察司僉事(せんじ)夏時によって江西に行われ,80年代にはほぼ全国に実施された。この法は,各農民を戸等(人丁資産の多少によって定められた)の順に配列した均徭冊を作り,それに基づいて農民の負担能力に応じた雑役を割り当て,またその割当ても10年に1回の当番制とされた(のちには5年に1回,3年に1回と短縮された)。ところが1500年ころから徭役の銀納化が始まり,これを銀差とよび,従来通り労役を提供するものは力差と呼ばれた。以後銀流通の拡大にともない力差のほとんどは銀納化され,やがて一条鞭法の中に包含され,その項目のみをとどめることとなった。
執筆者:谷口 規矩雄
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