基真(読み)きしん

朝日日本歴史人物事典 「基真」の解説

基真

生年生没年不詳
奈良時代の僧。近江国(滋賀県)出身。俗姓はおそらく物部氏。山階寺(興福寺)に属する。天平神護2(766)年9月,修行進守大禅師で正五位上に叙され,翌10月隅寺から舎利が発見されると法参議大律師正四位上に進み,物部浄志朝臣の姓を賜った。これは,舎利発見が道鏡の瑞とされた功による。その後,上級貴族の間に虎のように恐れられるほど権勢を誇ったが,神護景雲2(768)年に,さきの舎利出現が謀略であったことが露見し,また師の円興(道鏡の弟子)を凌突したこととあわせ,飛騨国(岐阜県)に流された。道鏡に近づき,その政権を支えた僧のひとりである。<参考文献>横田健一『道鏡』

(鷺森浩幸)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「基真」の解説

基真 きしん

?-? 奈良時代の僧。
近江(おうみ)(滋賀県)の人。山階(やましな)寺(興福寺)に属する。天平神護(てんぴょうじんご)2年(766)奈良の隅寺(すみでら)から仏舎利がでたと上申,その瑞祥(ずいしょう)によって道鏡が法王位についた。功により法参議大律師に任じられ権勢をふるったが,2年後に失脚,飛騨(ひだ)に流された。法名は基信ともかく。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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