日本大百科全書(ニッポニカ) 「基礎生産量」の意味・わかりやすい解説
基礎生産量
きそせいさんりょう
primary production
生物学で植物の光合成速度のこと。一次生産量ともいわれる。陸域をはじめとして、海洋・湖沼・河川などの水域でよく使われる。基礎生産量は、一定時間内の光合成総量を総生産量(Pg)、その間に植物自身が呼吸によって消費した量(R)を差し引いた値を純生産量(Pn)に区分する。一般に基礎生産量という場合は純生産量をさしている。
Pn=Pg-R
生物学的な生産は、工業生産・漁業生産など一般に用いられる意味とは異なる。さらに、生物学でも、生産ということばは、生産速度・現存量・収穫量のいずれかを意味しており、その前後の記述によって判断することが必要である。生産速度とは、一定空間(1平方メートルまたは1立方メートル)において一定時間(1日または1年)につくられる有機物の総量を表し、生産性・生産量・生産力などと同義である。生産力が潜在的な生産能力を意味することもある。現存量とは、ある時点に、ある空間に存在する有機物量をいう。
[佐野 昭・高橋正征]