改訂新版 世界大百科事典 「堀氏」の意味・わかりやすい解説
堀氏 (ほりうじ)
近世大名。清和源氏,藤原氏,菅原氏,大神氏などの諸姓に属する堀氏のうち,藤原姓利仁流で美濃厚見郡出自の堀氏が最も栄えた。美濃厚見郡茜部(あかなべ)を領した堀秀重の子久太郎秀政は織田信長に属して近江長浜を領し,ついで豊臣氏に従属,近江佐和山城主を経て1585年(天正13)越前北ノ庄18万石余を領し,その子秀治が98年(慶長3)越後春日山30万石余に転封し,その子忠俊の代の1610年改易されて絶家した。しかし秀政の次男親良がその翌年下野真岡を,1627年(寛永4)烏山2万8000石余を与えられて信濃飯田堀氏の祖となった。また秀政,秀治の与力であった堀直政は主家の姓を継ぎ,その庶子直寄が1610年幕府から信濃飯山を与えられ,直寄の次男直時が領地を分与されて越後村松堀氏を興し,直政の三男直重が15年(元和1)越後の内を領して須坂堀氏を興し,五男直之の家が椎谷堀氏を興すなど,直政の家系は繁栄した。維新後いずれも子爵。なお秀政の弟利重は常陸土浦1万石を領し,この家が寄合衆として存続した。
執筆者:岩沢 愿彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報