日本大百科全書(ニッポニカ) 「堀江藩」の意味・わかりやすい解説
堀江藩
ほりえはん
明治初年、遠江(とおとうみ)国堀江(静岡県浜松市)周辺において、虚偽の申告を基に成立した藩。1868年(明治1)敷知(ふち)、豊田、山名の3郡内に采地(さいち)3500石余を知行(ちぎょう)していた高家旗本大沢基寿(もとひさ)は、内高(実高)5485石に、浜名湖の湖面を「村々見込追々(おいおい)開墾地」と称し、合計1万0006石を領有していると虚偽を報告、これが認められて同年9月立藩したものである。71年には廃藩置県により堀江県となり、浜松県を経て静岡県に編入。しかし、藩庁内にあって古くからの陣屋吏員と大沢氏側近の役人たちとの主導権争いから、のち虚偽の報告が露顕し、基寿は華族を除かれ禁錮1年の刑に処せられた。
[若林淳之]