遠江(読み)トオトウミ

精選版 日本国語大辞典 「遠江」の意味・読み・例文・類語

とおとうみとほたふみ【遠江】

  1. ( 「とおつおうみ(遠淡海)」の変化した語 )
  2. [ 1 ] ( 都に近いうみ、近つ淡海(琵琶湖)に対し、都に遠いうみ、遠つ淡海(浜名湖)のある国の意 ) 東海道一五か国の一つ。大化改新(六四五)後、素賀(すが)・久努(くぬ)などの諸国が統合して成立。鎌倉幕府国守御家人を任じ、南北朝時代に今川氏・斯波氏守護となる。のち、今川氏が領有桶狭間の戦いで今川氏が滅びた後は徳川家康が支配し、江戸時代には浜松・掛川横須賀相良の諸藩に分かれた。明治四年(一八七一)の廃藩置県により堀江県となり、浜松県を経て、同九年静岡県に合併された。遠州。
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 遠江国(静岡県)は三河国(愛知県)の隣国であるところから、「みかわ」の音を「身」と「皮」とにかけて、身と皮の間の意とする ) ふぐの皮下組織を湯に通したもの。刺身に添える。
    1. [初出の実例]「腹壁の肉をトウトウミと言ふが、これはみかわの隣りと言ふ洒落らしい」(出典:随筆たぬき汁(1941)〈佐藤垢石〉海㹠と河豚)

遠江の補助注記

万葉‐四三二四」に、遠江国山名郡の防人丈部川相の作として「等倍多保美(トヘタホミ)白羽(しるは)の磯と贄(にへ)の浦とあひてしあらば言も通(かゆ)はむ」とある。


とえたおみとへたほみ【遠江】

  1. 「とおとうみ(遠江)[ 一 ]」の上代東国方言。
    1. [初出の実例]「等倍多保美(トヘタホミ)白羽(しるは)の磯と贄(にへ)の浦と合ひてしあらば言(こと)も通(かゆ)はむ」(出典万葉集(8C後)二〇・四三二四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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