静岡県西部の湖。湖岸は浜松市・
浜名湖の先祖ともいえる湾が三〇万―二〇万年前に存在した。これは浜名湖東岸の
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静岡県西部の汽水湖。面積は北部の猪鼻(いのはな)湖(5.5km2)を含め68.8km2と日本第10位であるが,湖岸線は屈曲に富み延長103kmで琵琶湖,霞ヶ浦に次いで第3位である。最大深度12.2m。かつては砂州で遠州灘と隔てられた淡水湖で,近江国の琵琶湖に対して遠淡海(とおつおうみ)と呼ばれた。湖の北部から南西にのびる大崎半島,村櫛半島によって分けられる北西部の猪鼻湖,北東部の引佐(いなさ)細江,東部の庄内湖をはじめ,松見ヶ浦,内浦など入江が多く,南は今切口(いまぎれぐち)で遠州灘に通じる。北東部から都田(みやこだ)川,南東部から新川が流入する。湖岸は干拓,埋立て,養魚場造成などにより自然汀線の消失が著しい。
浜名湖の成因は,三方原,高師原,天伯原などの洪積台地の浸食谷が沈降や海面の上昇により沈水したのち,湾口を天竜川からの漂砂による砂州でふさがれたもので,南半部は砂質堆積物からなり,イカリ瀬,大瀬,八兵衛瀬などの浅瀬が多く,北半部は泥質堆積物からなり,水深も6~12mと深く沈水性を示している。外海とは砂州を切る浜名川が通じ,湖畔には旧東海道の橋本宿があった。1498年(明応7)の地震津波により砂州が破壊され,今切口の開口部が生じ汽水湖となった(今切渡)。その後,1510年(永正7)の災害で橋本宿は水没,東海道の舞坂宿と新居宿(湖西市)の間は渡船区間となった。津波で切断された砂州の一部は江戸時代に埋め立てられて弁天島となり,現在,東海道本線,同新幹線がその上を通る。
湖水中の栄養塩類が豊富でプランクトンの繁殖がよいため,生息する生物の種類が多く,また外洋性魚類も迷いこんでその数は増加し,魚類だけでも300種近く生息するといわれる。湖面漁業が活発で,エビ,カニ,ウナギなどが漁獲されるほか,南部ではノリ,カキ,ウナギ,スッポンの養殖が盛んである。特にウナギの養殖は1890年代に舞阪で始められ,日本の代表的産地として知られる。近年は養鰻池をビニルで覆うものが多い。湖の南半は潮汐の影響により湖水の循環が良好であるが,北半は停滞水域となり,湖水汚染,赤潮発生,透明度低下など環境問題も生じている。
浜名湖南部の弁天島は明治中期から潮干狩り,海水浴を中心とした保養・観光地として発達してきたが,湖北の奥浜名と呼ばれる地域は,浜名湖北部を通る東名高速道路三ヶ日インターチェンジの設置(1969)とこれに接続する浜名湖レークサイドウェー(1968開通。2007無料開放),弁天島から村櫛半島にいたる浜名湖大橋(1973開通。2003無料開放)などの建設を契機に舘山寺(かんざんじ)温泉を中心に観光開発がすすんでいる。一帯は浜名湖県立自然公園となっている。
執筆者:北川 光雄
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静岡県南西部にある湖。古くは遠淡海(とおつおうみ)ともよばれた。湖岸の東側から北側は浜松市に面し、西側は湖西市(こさいし)に面する。面積は猪鼻湖(いのはなこ)を含めて70.4平方キロメートル、周囲103キロメートル、最大深度12.2メートル。湖奥は大崎半島に囲まれた猪鼻湖、東部は村櫛(むらくし)半島により引佐細江、和地支湾、内浦、西岸は松見浦など湾入が多く、肢節に富んでいる。また水深は北部が深く、南部が浅くなり、湖口部には大瀬、碇瀬(いかりせ)など水深1メートル以下の所もある。東部の三方原(みかたはら)の隆起と侵食谷の発達、気候変化に伴う海水面の変化によって海岸の砂州が閉じられてできた淡水湖で、平安時代、砂州の上を東海道が通り、浜名川には架橋され、橋本宿は繁栄を極めた。1498年(明応7)、地震の際の津波によって砂州が決壊して今切口(いまぎれぐち)とよばれる湖口が開け、海水が流入して汽水湖が形成された。今切は東海道の新居と舞坂の宿の間にあたり渡船が行われ、新居の関も設けられた。現在浜名バイパスの浜名大橋で結ばれている。浜名湖は富栄養湖のうえ汽水湖のため魚貝類の種類が多く、魚類200種、貝類70種、甲殻類30種などのほか藻類も多い。袋網、流(ながし)網、刺(さし)網などの漁法による湖面漁業も盛んである。浅瀬のアサリ採貝、ノリ、カキの養殖、ウナギ、スッポンの養殖も行われている。観光資源も豊富で、舘山寺(かんざんじ)温泉、フラワーパークや動物園、弁天島温泉、礫(つぶて)島、三ヶ日ミカンの観光農場などがあり、浜名湖巡りの遊覧船も就航している。北岸を天竜浜名湖鉄道、大崎半島に浜名湖レークサイドウェーが走る。また、東名高速道路の浜名湖橋のほか、はまゆう大橋、浜名湖大橋などが架橋されている。
[北川光雄]
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