化学辞典 第2版 「塩化フタロイル」の解説
塩化フタロイル
エンカフタロイル
phthaloyl chloride
phthaloyl dichloride.C8H4O2Cl2(203.03).対称形(s-形)と非対称形(as-形)がある.as-形は3,3-ジクロロフタリドともいう.s-形は,無水フタル酸に五塩化リンまたは塩化チオニルを作用させると得られる.融点11.5~12 ℃,沸点281.1 ℃.1.5692.エーテルに可溶.水やアルコールで容易に分解されてフタル酸やフタル酸エステルをつくる.冷アンモニアとの反応でo-シアノ安息香酸を与える.塩化アルミニウムなどにより,容易にas-形(融点89 ℃)に変化する.as-形は沸点(278 ℃)まで加熱するとs-形に戻る.アルコールと反応して3,3-ジアルコキシフタリドを与える.冷アンモニアとの反応で,やはりo-シアノ安息香酸を生成する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報