日本大百科全書(ニッポニカ) 「無水フタル酸」の意味・わかりやすい解説
無水フタル酸
むすいふたるさん
phthalic anhydride
酸無水物の一つで、フタル酸の二つのカルボキシ基(カルボキシル基)から1分子の水がとれた構造をもつ。
フタル酸を加熱して脱水すると得られるが、工業的には五酸化バナジウムを触媒としてナフタレンまたはo(オルト)-キシレンを気相で酸化して製造する。無色の針状結晶で昇華性がある。水にはわずかに溶け、徐々に加水分解されてフタル酸になる。エーテルにもわずかに溶ける。プラスチックの可塑剤であるフタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステルの製造や、アルキド樹脂、フェノールフタレイン、フルオレセイン、エオシンなどの染料、医薬の合成原料として用いられる。
[廣田 穰 2016年11月18日]
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