外傷性横隔膜ヘルニア

内科学 第10版 「外傷性横隔膜ヘルニア」の解説

外傷性横隔膜ヘルニア(横隔膜ヘルニア)

(1)外傷性横隔膜ヘルニア(traumatic diaphragmatic hernia)
概念
 交通事故あるいは高所からの転落のときに加えられた外傷により生じる.左側に多いとされる.
臨床症状
 多くの場合,腹部臓器の脱出があれば何らかの症状を訴える.急性症状として,胸骨下部の強い痛み,嘔吐,肺の圧迫による呼吸困難,ショックなどを認める.嵌頓ヘルニアに陥ると,嘔吐,腹痛などのイレウス症状を呈する.
診断
 胸部X線所見として,左側では横隔膜辺縁の消失,胸腔内の腸管ガス像などがみられる.胸部CTは診断に役立つ.
鑑別診断
 救急時,左胸腔内に逸脱した消化管による消化管ガス像が増大すると血気胸と診断を誤ることがあるため注意が必要である.
治療
 治療は経鼻胃管挿入による消化管内減圧および手術である.[鰤岡直人・清水英治]
■文献
鰤岡直人:胸部写真が正常な呼吸器疾患.フレイザー,呼吸器病学エッセンス: 清水英治,藤田次郎監訳, pp 1001-1012, 西村書店,2009.
Fraser RS, Neil C et al: Disease of the diaphragm and chest wall. In: Synopsis of Diseases of the Chest (3rd ed), pp 897-911, Elsevier, Philadelphia, 2005.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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