日本大百科全書(ニッポニカ) 「大ルーマニア主義」の意味・わかりやすい解説
大ルーマニア主義
だいるーまにあしゅぎ
România Mare ルーマニア語
Greater Rumania 英語
ルーマニア人の居住する全地域を国家的に統合せよという主張。ルーマニア人国家モルダビア、ワラキアはトルコに従属したが、ワラキアのミハイ勇敢王(在位1593~1601)はトルコ支配を離脱し、モルダビアなどを併合、後の大ルーマニア主義の原型をつくった。その後これらの地はすべてトルコとハンガリーに支配されたが、ルーマニアの政治家は大ルーマニアの再現を夢み続けた。第一次世界大戦前後にルーマニアはトランシルバニア、ベッサラビア、ブコビナ、南ドブルジア、東バナートを併合し、その夢を実現したが、少数民族が人口の4分の1に達し、近隣民族からの圧力に苦しんだ。
[木戸 蓊]