ブコビナ(読み)ぶこびな(英語表記)Bukovina

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブコビナ」の意味・わかりやすい解説

ブコビナ
Bukovina

東ヨーロッパの地域名。カルパチア山脈東北部とそれに続く平野部をさす。6~12世紀ウクライナ人,ルーマニア人が移住。その後オスマン帝国,続いてロシアに帰属。 1775年以来オーストリアに併合され,第1次世界大戦を契機にルーマニア領となった。しかし 1940年「ウクライナ人のウクライナ」を主張するソ連はチェルノフツィ市を中心とする北部を占領。 47年パリ平和条約によって北部 (約 8400km2) はソ連,南部 (約 4900km2) はルーマニアに帰属することが確認された。住民は北部のウクライナ人,南部のルーマニア人を中心に,ロシア人,ユダヤ人,ドイツ人など。全地域の半分近くがモミブナ (ブコビナの名称はスラブ語のブナ bukに由来) の森林で,製材業が盛ん。プルト川,シレト川流域の平野部ではトウモロコシ,テンサイ,オオムギジャガイモなどを産する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブコビナ」の意味・わかりやすい解説

ブコビナ
ぶこびな
Bukovina

ヨーロッパ東部、ウクライナとルーマニアにまたがる地域の歴史的呼称。カルパティア山脈北東の山麓(さんろく)地方をさし、シレト川、プルート川、ドニエストル(ドニステール)川の上流地帯にあたる。面積4031平方キロメートル。北部はウクライナに属し、住民の多数はウクライナ(ルテニア)人。南部はルーマニア領で、ルーマニア人を相対多数とする多民族が住む。トルコ領であったが、1774年にオーストリア(当時)のガリツィア地方に編入された。1919年にルーマニア軍により占領され、パリ平和会議でもルーマニア領とされた。1940年6月にソ連はベッサラビアとともにブコビナの割譲をルーマニアに要求、ドイツが難色を示したので、ブコビナは北部のみがソ連に帰属、1991年のソ連解体でウクライナ領となった。

木戸 蓊]

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