大嘗会屏風(読み)だいじょうえびょうぶ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大嘗会屏風」の意味・わかりやすい解説

大嘗会屏風
だいじょうえびょうぶ

大嘗会は天皇が即位後初めて行う新嘗 (にいなめ) 祭のことで,その際行われる悠紀 (ゆき) の節会と主基 (すき) の節会に用いる屏風をいう。 10世紀頃に始り毎回,当時第一流の歌人画家書家により新造された。両節会とも,やまと絵屏風6帖と本文屏風4帖を用いるのが普通。やまと絵屏風は,神穀を献じる悠紀,主基の国郡から勘申された諸名所を主題とした歌を作って色紙形に書き,その意を図絵したもの。また本文屏風は中国の典籍から瑞祥にちなんだ文章を抜き出してその意を図絵し,本文を色紙形に書入れた唐絵であった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大嘗会屏風の言及

【名所絵】より

… こうした屛風歌や障子歌は,9世紀後半から始まって,おびただしい数が当時の歌集に収められており,平安時代の障屛画の盛大な様相を示している。なかでも歴代天皇の大嘗会(だいじようえ)の際の大嘗会屛風は,最も公的な行事の場を飾るものとして,10世紀以降の記録によれば,各時期の代表的歌人,書家,画家によって制作され,悠紀(ゆき)方・主基(すき)方各国郡の名所18ヵ所をそれぞれ6帖の屛風に描いたものであった。しかし,名所絵も11世紀以降,屛風歌そのものの制作の衰えとともに本来の生命力を失っていった。…

【やまと絵】より

…変化に富んだ四季の景趣や,12ヵ月折々の風物行事を連続的に描いた四季絵月次(つきなみ)絵,さらに歌枕として名高い各地の名所を四季の移り変わりと重ね合わせて連作とした名所絵である。また月次絵,名所絵の両者を統合整備したものとして大嘗会屛風が重要である。これは唐絵屛風(五尺四帖)とやまと絵屛風(四尺六帖)とから成り,10世紀以降,歴代天皇の大嘗会の際に新造された,最も公的な,威儀を正したもので,一流の歌人,画家,書家が動員された。…

※「大嘗会屏風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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