大学事典 「大学の言語訴訟」の解説
大学の言語訴訟
だいがくのげんごそしょう
litigation over a university's language of instruction
複数言語の併用地域の大学の教育言語をめぐる訴訟として,スペインの一自治州の例が挙げられる。ロビラ・イ・ビルジリ大学(スペイン)は,16世紀創立のタラゴナ大学(スペイン)を復活させ,カタルーニャ自治州南部タラゴナに1991年に誕生したカタルーニャ自治州政府によって設立された公立大学である。この大学のあるカタルーニャ自治州は,いわゆるスペイン語であるカスティーリャ語のほかに,カタルーニャ語を公用語としており,言語正常化法を有する。大学の言語使用規定に対して,2000年7月にコンヴィヴェンシア・シヴィカ・カタラナという団体の訴えに対する判決が出た。大学の言語使用規定がカタルーニャ語の使用を強要し,いわゆるスペイン語であるところのカスティーリャ語の使用が排除されているとした訴えであった。「違憲ではないが一部修正する必要がある」との判決が出され,大学の言語使用規定7条項のうち3条項を無効とし,それらを修正して再度可決された。この言語訴訟判決は言語訴訟の憲法裁判所への道を開いたものとして評価されている。
著者: 安藤万奈
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報