日本大百科全書(ニッポニカ) 「大江山絵巻」の意味・わかりやすい解説
大江山絵巻
おおえやまえまき
源頼光(よりみつ)が家来の四天王とともに大江山に住む酒呑童子(しゅてんどうじ)を退治する話を描いた絵巻。「酒呑童子」として『御伽草子(おとぎぞうし)』23編にも載る著名な武勇譚(ぶゆうたん)に取材したもの。遺品のなかでは大阪・逸翁(いつおう)美術館の二巻本がもっとも古く、鎌倉時代(14世紀)にさかのぼる。もと下総(しもうさ)国(千葉県)香取(かとり)神社に伝来したもので、絵は大和絵(やまとえ)の作風によっているが、御伽草子絵にもつながる素朴な表現がみられる。またこの物語は後の狩野(かのう)派の作家によっても取り上げられ、元信(もとのぶ)、孝信(たかのぶ)、探幽(たんゆう)の絵巻が伝わっている。
[村重 寧]