大西風(読み)おおにしかぜ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大西風」の意味・わかりやすい解説

大西風
おおにしかぜ

冬季低気圧の通過後に吹く西寄りの強風大西(おおにし)ともいう。日本付近を低気圧が通過してから東方洋上で発達すると、その西側の大陸方面から西風が吹き募り、海が時化(しけ)るので大西風は海難の原因となることが多い。発達した東方沖上の低気圧がなかば定常的になると、連日大西風が吹き続けて、離島との船による交通は一時途絶えることもある。

 1926年(大正15)12月8日、和歌山県串本(くしもと)町の田子港から出港した漁船良栄丸(18トン、12人乗り)は、千葉県銚子(ちょうし)沖で漁労中に大西風にあって漂流し、全員死亡して無人船となった船体は翌1927年(昭和2)11月2日アメリカ西海岸で発見されたが、船中の記録はその年の5月11日まで書き残されていた。現在は船舶における通信や航海の設備が完備してきたので、良栄丸のような遭難はほとんどなくなってきている。

根本順吉

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android