山川 日本史小辞典 改訂新版 「天寿国曼荼羅繍帳」の解説
天寿国曼荼羅繍帳
てんじゅこくまんだらしゅうちょう
奈良中宮(ちゅうぐう)寺に伝わる日本最古の刺繍製品。622年(推古30)に聖徳太子を追慕して妃の橘大郎女(たちばなのおおいらつめ)が作らせたもので,もとは2張あったが,今は残片と鎌倉時代の補作を台裂に貼り,額装した1張が残る。「上宮聖徳法王帝説」は残片中の亀の背の銘文について記しており,それによると太子が死後に往生した天寿国の有様を表して太子をしのぶために勅許を得て,椋部秦久麻(くらべのはたくま)を監督とし,東漢末賢(やまとのあやのまけ)・高麗加西溢(こまのかせい)・漢奴加己利(あやのぬかこり)の3人の画師に下絵を描かせ,多くの采女(うねめ)たちに刺繍させたとされる。縦88.8cm,横82.7cm。国宝。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報