日本大百科全書(ニッポニカ) 「天道念仏」の意味・わかりやすい解説
天道念仏
てんどうねんぶつ
念仏踊の一種。天道とは太陽のことで、その名のとおり太陽を拝み、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈念する念仏踊。関東一円から福島県にかけての各地に分布している。福島県白河市関辺(せきべ)の八幡(はちまん)神社で旧6月1日に行われる天道念仏は、俗に「さんじもさ踊り」とよばれるが、天祭り、稲祭り、いなご追い、除蝗祭(じょこうさい)ともいわれ、浴衣(ゆかた)がけの男子が舞庭の中央に組まれたお棚を回って踊る。同県郡山(こおりやま)市内にも「てんとう念仏」の名で分布している。千葉県印西市武西(いんざいしむざい)では「称念仏踊」とよばれ、2月15日に行われるが、『江戸名所図会(ずえ)』に記されているように、船橋市をはじめ習志野(ならしの)市、柏(かしわ)市などでもかつては盛んであった。ほかに茨城県新治(にいはり)郡や群馬県高崎市などに伝承する。
[高山 茂]