奥向(読み)おくむき

精選版 日本国語大辞典 「奥向」の意味・読み・例文・類語

おく‐むき【奥向】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 家の奥のほう。居間のほう。
    1. [初出の実例]「この旦那のお噂(うわさ)も、度々奥向(オクムキ)であるげなが」(出典歌舞伎梅柳若葉加賀染(1819)四立)
  3. 家政全般に関する方面。また、その仕事や、その仕事にたずさわる人。江戸幕府や大名家、また、上流家庭についていった。⇔表向(おもてむき)
    1. [初出の実例]「譬へば当時武家の奥向諸役人と、表向諸役人との差別の如きのみ」(出典:国歌八論(1742)官家)
  4. 家庭内の事情。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の奥向の言及

【大奥】より

…江戸城内殿舎の奥向の称。江戸時代には,大名・旗本など大身の武家の邸宅では,当主を中心として家政処理や対外的応接などを処理する〈表〉と,当主の妻を中心に子女たち家族が生活する〈奥〉とが明確に区別されていた。…

【奥女中】より

…江戸時代に武家の奥向に仕えた女性の総称。江戸時代には将軍家,大名,旗本など,身分ある武士の邸宅では“表”と“奥”の区別が厳重にたてられ,当主以外の男子は奥には入れなかったから,御広敷とよばれる奥向管理事務の男子役人以外は,奥向の諸事はすべて女性で弁じた。…

※「奥向」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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