…離島に送り,島民と雑居して生活させる刑で,《公事方御定書》(1742)以後制度が整った。武士,僧侶神職,庶民など身分を問わず適用され,武士の子の縁坐(えんざ),寺の住持の女犯(によぼん),博奕(ばくち)の主犯,幼年者の殺人や放火などに科された。死刑につぐ重刑とされ,田畑家屋敷家財を闕所(けつしよ)(没収)し,刑期は無期で,赦(しや)によって免ぜられたが,《赦律》(1862)によれば,原則として29年以上の経過が必要であった。…
…幕府の法では柱に縛してむしろに座せしめる通常の晒と,土中に埋めた箱に着座させ首だけを地上に出す穴晒(あなさらし)とがあった。前者は穴晒に対して陸晒(おかさらし)と呼び,女犯(によぼん)の所化(しよけ)僧,心中(相対死(あいたいじに))未遂の男女両人に科したことでよく知られる。女犯の僧は寺法による処分に,心中の男女は非人手下(てか)の刑に先だって晒されるのであるが,他の罪種にも磔(はりつけ)などの刑に付加して用いられた。…
…密教の教理を曲解して,天地の森羅万象を金剛界と胎蔵界に分け,これに男女を配して大日如来にあて,男女の交合をもって即身成仏の秘法とし,煩悩即菩提の極致であると説く。仁寛は女犯によって伊豆に流されたが,同じころ,真言勧修寺流を受けた四天王寺の別当真慶(しんぎよう)も盛んに女犯の是認を説いた。鎌倉末期,後醍醐天皇の護持僧文観(もんかん)は真慶の印信書籍を筆写し,仁寛秘法の印契を会得して立川流を大成,秘法を天皇に伝えて寵を得たというが,その真否は定かでない。…
※「女犯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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