妊娠性疱疹(読み)にんしんせいほうしん(英語表記)Herpes gestationis

六訂版 家庭医学大全科の解説

妊娠性疱疹
にんしんせいほうしん
Herpes gestationis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 妊娠の時に出てくる水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう)と考えると理解しやすいと思います。

原因は何か

 妊娠中、または、胞状奇胎(ほうじょうきたい)絨毛上皮腫(じゅうもうじょうひしゅ)(ともに婦人科領域の腫瘍性(しゅようせい)の病気)に伴って発症します。

 原因は、患者さんの血液のなかに、皮膚のヘミデスモゾームを攻撃するような自己抗体という名前の免疫グロブリンができてしまうことによります。妊娠の終了とともに軽快することが多く、どうして妊娠中だけに出てくるのかいまだにわかっていません。

 妊娠を繰り返すことにより、本症が繰り返し生じて、そのたびに重症化することもあります。

症状の現れ方

 初めはじんま疹に似ている紅斑(こうはん)で症状が現れます。非常にかゆいのが特徴です。それに引き続いて、じんま疹のような浮腫性の紅斑の上に水疱が出てきます。

検査と診断

 水疱性類天疱瘡と同じです。

治療の方法

 本来は水疱性類天疱瘡と同じ治療を行うのですが、妊娠中であるという特殊事情と、妊娠が終われば軽快することが多いことから、まずは副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬が十分に使える時までは、ステロイド薬の外用(塗り薬)で治療を試みます。うまくいかない時にはステロイド薬の内服となります。

病気に気づいたらどうする

 妊娠中は産婦人科を定期受診しているのが普通なので、治りにくいじんま疹や、その上に水疱が出てきた時には、受診中の医師に皮膚科を紹介してもらってください。

田中 俊宏

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館の解説

にんしんせいほうしん【妊娠性疱疹 Herpes Gestationis】

[どんな病気か]
 おもに妊娠末期ないし産褥期(さんじょくき)の妊婦に出現する病気で、全身に浮腫性(ふしゅせい)の紅斑(こうはん)と水疱(すいほう)ができます。妊娠中に現われる水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう)と考えられています。
[検査と診断]
 天疱瘡(「天疱瘡」)と同様の検査を行ない、表皮下の水疱と、皮膚細胞の基底膜部に補体成分が沈着しているか、血液中に補体結合性IgG(免疫グロブリンG)である抗表皮基底膜部抗体(こうひょうひきていまくぶこうたい)(妊娠性疱疹因子(にんしんせいほうしんいんし))があるかを調べて診断します。
[治療]
 重症の場合は副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンの内服療法となりますが、分娩後(ぶんべんご)に自然に治ることも多いため、軽症の場合は、出産まで副腎皮質ホルモンの外用剤(軟膏(なんこう)など)で経過を観察します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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