妊娠時にみられる歯肉炎(読み)にんしんじにみられるしにくえん(その他表記)Pregnancy gingivitis

六訂版 家庭医学大全科 「妊娠時にみられる歯肉炎」の解説

妊娠時にみられる歯肉炎
にんしんじにみられるしにくえん
Pregnancy gingivitis
(歯と歯肉の病気)

どんな病気か

 妊娠2~8カ月の間に、歯肉の炎症が悪化することがあります。このことは、前項思春期にみられる歯肉炎と同様のメカニズムによって起こると考えられています。

 エストロゲン卵胞(らんぽう)ホルモン)やプロゲステロン黄体(おうたい)ホルモン)の影響で、もともとあった歯肉炎や歯周炎が悪化します。子どもと違い妊娠可能な女性では、年齢的にみても歯肉炎から歯周炎に進行していることもあるので、妊娠前から歯肉の健康維持に努めることが大切です。

 まれに、歯肉が数歯に限局してはれて、妊娠性エプーリスがみられることもあります。妊娠自体が原因ではなく、プラークが主原因であることから、妊娠中はとくにプラークコントロールに配慮するとよいでしょう。

 妊娠中の女性に重度の歯周炎があると、プラーク中の歯周病原細菌の影響で、早産や低体重児出産が起こると報告されています。

出産後の対処

 出産すると、ある程度歯肉の炎症は改善しますが、歯肉炎や歯周炎に自然治癒はありません。妊娠中はもとより出産後も、なるべく早期にかかりつけ歯科医や近隣の歯科医での受診をすすめます。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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