卵胞(読み)ランポウ

デジタル大辞泉 「卵胞」の意味・読み・例文・類語

らん‐ぽう〔‐パウ〕【卵胞】

《「らんほう」とも》卵巣皮質にある、卵細胞とそれを取り巻く卵胞上皮細胞とからなる細胞集団。月経周期ごとに1個ずつ原始卵胞成熟し、グラーフ濾胞ろほうになると破れて排卵する。排卵後は黄体おうたいに変わる。濾胞。卵巣濾胞。

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精選版 日本国語大辞典 「卵胞」の意味・読み・例文・類語

らん‐ぽう‥パウ【卵胞】

  1. 〘 名詞 〙 卵巣内にあり、卵を蔵し、それを囲む細胞性の膜からなる嚢。濾胞液で満たされ、性周期が始まると発育を始め、破れて排卵が起こると黄体に変わる。卵巣濾胞。濾胞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「卵胞」の意味・わかりやすい解説

卵胞
らんぽう

卵(卵子)を取り囲んで胞状を呈する細胞集団をいう。ヒトの卵巣ではその発育段階で、胎生5週ころには原始生殖細胞が卵巣に入り込み、盛んに細胞分裂をして、その数を増やしていく。この時期の細胞を卵祖細胞とよぶ。卵祖細胞は出生前に増殖を止め、一次卵母細胞となる。この卵母細胞は減数分裂前期の状態で卵巣内にとどまっている。1個ずつの卵母細胞の周りは上皮細胞によって包まれ、この状態にあるものを一次卵胞とよぶ。新生児の両側の卵巣には約40万個の一次卵胞が存在している。一次卵胞は、生後はしだいに変性退化して減少し、月経が止まる閉経期以後はほとんど消失してしまう。この間に、卵胞はだいたい28日に1個ずつ成熟し、排卵の際には卵胞が破れて中の卵母細胞が放出される。成熟する一次卵胞は、まず周囲の卵胞上皮が細胞分裂により増殖し、多層となる。中心にある卵母細胞の表面には無構造の薄い層が形成され、透明帯とよぶが、これは多量の糖タンパクを含んでいる。一次卵胞がさらに大きくなり、直径0.2ミリメートルになると二次卵胞となる。

 二次卵胞の卵胞上皮層は十数層にもなるが(この層を顆粒(かりゅう)層とよぶ)、顆粒層内部空隙(くうげき)が生じ、卵母細胞は一側に押しやられる。この空隙は卵胞洞とよばれ、卵胞液で満たされている。したがって、卵母細胞を取り囲んでいる顆粒層の部分は、卵母細胞とともに卵胞洞に向かって半島状に突出したようになる(これを卵丘とよぶ)。このような大きな袋状になった卵胞をグラーフ卵胞(17世紀のオランダの解剖学者グラーフR. de Graafにちなむ)とよび、その大きさは直径2センチメートルにも達する。成熟卵胞が破れて卵胞液とともに卵母細胞が卵巣の外に放出されるのが排卵であり、排卵のあとの卵胞は黄体を形成する。

[嶋井和世]


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百科事典マイペディア 「卵胞」の意味・わかりやすい解説

卵胞【らんぽう】

濾胞(ろほう)とも。卵巣内にある卵とそれを取り囲む細胞性の膜からなる小胞。卵の成熟に伴って発育する。最初は1個の卵を1層の卵胞上皮細胞が取り巻く原始卵胞。次いで上皮細胞はふえて数層となり,細胞塊の中に卵が入っている形となる。やがてこの細胞塊内に間隙(かんげき)ができて卵胞液という液体を満たす。このように発達した卵胞をグラーフ卵胞胞状卵胞)という。さらに卵胞液の増加によって卵胞は次第に大きくなるとともに卵巣表面に近づき,ついに内圧の高進によって破れ,卵は卵胞液とともに卵巣外に排出される(排卵)。排卵後の卵胞は一時血液を含み赤体をつくるが,やがて黄体となり,さらに白体に変わる。なお,排卵に至らないで途中で死滅する卵胞もあって,この過程を卵胞閉鎖という。
→関連項目エストロゲン排卵排卵誘発薬胞状卵胞卵巣

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栄養・生化学辞典 「卵胞」の解説

卵胞

 卵巣にあって卵を包んでいる小胞.

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世界大百科事典(旧版)内の卵胞の言及

【性器】より

…小柱の平滑筋が収縮して海綿体が収縮し,静脈から血液が流出して勃起がおさまる(図4)。
【女性の性器】

[卵巣と卵胞の成熟]
 卵巣は,卵子を作る器官であるとともに,女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)を分泌する内分泌腺でもある。骨盤腔の外側壁の近くにある1対の平たい楕円形の器官で,中心部の髄質と表層部の皮質に区別される。…

【卵巣】より

…両生類や魚類では髄質部を成す結合組織が退化した後は卵巣腔となり,成熟した卵母細胞,または卵は,ここに排卵される。哺乳類の成熟した卵巣には生殖上皮は無く,濾胞細胞に包まれ濾胞follicle(医学では卵胞と呼ぶ)を形成した卵が,結合組織中に存在し,下垂体ホルモンの影響下に,成熟して排卵される。 脊椎動物の卵巣は,内分泌器官としても機能する。…

※「卵胞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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