妙好人伝(読み)みょうこうにんでん

改訂新版 世界大百科事典 「妙好人伝」の意味・わかりやすい解説

妙好人伝 (みょうこうにんでん)

真宗篤信者の伝記集。初編は本願寺派浄泉寺仰誓編,第2~5編は同派専精寺僧純編,その他に松前象王(未詳)による続編がある。1842-58年(天保13-安政5)の間に板行。のち明治以後も再三重版されている。全6編に登場する人数は157名で,農民が41%,商人が16%を占め,すべて江戸時代の人たちである。妙好人とは,本来一般の念仏者を褒賞する語であったが,本書板行後は真宗篤信者の別称になった。いずれも真摯な他力念仏者で,みずからを煩悩(ぼんのう)深い悪人と自覚し,ひたすら阿弥陀仏救済の本願を信じて現実生活に深い充足感をもつが,一面ではその時代の為政者本山門主等への順応,道徳生活の遵守,忍従生活の甘受もみられる。妙好人のこの性格は明治以後も踏襲され,真宗信者の模範像とされ,さらに類書の叢伝や個人伝,言行録等の刊行がつづいている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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