本山(読み)ホンザン

デジタル大辞泉 「本山」の意味・読み・例文・類語

ほん‐ざん【本山】

一宗一派の多くの末寺を統轄する寺院。格式により総本山大本山などの区別もある。本寺。
この寺。本寺。
[類語]総本山大本山本寺

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精選版 日本国語大辞典 「本山」の意味・読み・例文・類語

ほん‐ざん【本山】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一宗一派の長として末寺を統轄する寺。格式によって総本山、大本山などの別がある。本寺。
    1. [初出の実例]「本山を去て、多武の峯に籠居て」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)
    2. [その他の文献]〔慧遠‐万物影銘〕
  3. 自分の所属している寺。
    1. [初出の実例]「戒壇踏で受戒して、我本山に帰らん」(出典:虎明本狂言・名取川(室町末‐近世初))
  4. ( から転じて ) 物事の統轄をする中心。もとじめ。
    1. [初出の実例]「東地歌舞伎の本山中村を初とし」(出典:評判記・野郎楊弓(1693)序)
  5. ほんざんは(本山派)」の略。
    1. [初出の実例]「本山之山伏」(出典:御当家令条‐八・当山三宝院御門主へ御判物両通・慶長一八年(1603)五月二一日)

もとやま【本山】

  1. [ 一 ] 長野県塩尻市の地名。江戸時代は中山道洗馬と贄川の間にあった宿駅。
  2. [ 二 ] 香川県三豊郡豊中町の地名。本山寺がある。

もとやま【本山】

  1. 姓氏一つ

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日本歴史地名大系 「本山」の解説

本山
ほんざん

男鹿半島西端、日本海に臨んでそそり立ち、南に毛無けなし山、北にしん山が連なる。中新世初期・中期の火山噴出物が主体をなして形成された。男鹿三山の一、男鹿半島の最高峰で標高七一五・二メートル。

平安時代末期から山岳信仰の場となり、天台宗の本山派山伏が熊野信仰を伝播した。薬師やくし岳と称したが、熊野三山の一、本宮になぞらえ、本山または大峰おおみねとよばれるようになった。真山と合わせて赤神あかがみ山ともいう。

南麓の小浜こはま村支郷門前もんぜん村に日積につしやく寺があり、伝記(絹篩)によれば建保(一二一三―一九)の頃には「寺院四十八坊」を数えたという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「本山」の意味・わかりやすい解説

本山(町)
もとやま

高知県中北部、長岡郡の町。1910年(明治43)町制施行。1955年(昭和30)吉野村と合併。国道439号が通じる。四国山地中に位置し、中央部を吉野川上流が縦谷となって東流。南岸に立地する中心地本山は戦国時代には本山氏の本拠地で、本山城跡が残る。古代、南海道が通過し、吾椅(あがはし)駅が所在したとする説もある。近世は土佐藩参勤交代道の経由地で、土佐藩はこの地に重臣を配した。土佐藩執政野中兼山(けんざん)もこの地を拝領、帰全山公園(きぜんざんこうえん)には兼山の母方秋田氏の墓地がある。北部の白髪(しらが)山(1469メートル)一帯はかつて土佐藩林で、現在は林野庁の四国森林管理局による天然ヒノキの保護林もあり、白髪山県立自然公園に指定され、木材のほかコウゾを産する。南西部の土佐町との境には四国の水甕(みずがめ)の早明浦(さめうら)ダムがある。農業は、米作のほかに野菜栽培や肉用牛肥育などが行われている。帰全山公園はシャクナゲの名所となっている。面積134.22平方キロメートル、人口3261(2020)。

[大脇保彦]

『『本山町史』(1979・本山町)』



本山
ほんざん

秋田県の男鹿半島(おがはんとう)西部にある鐘状火山。標高715メートル。北の真山(しんざん)、南の毛無山(けなしやま)とともに男鹿三山とよばれる。花崗(かこう)岩類の基盤を破った石英安山岩の噴出が外部に現れず円頂丘となったもの。西は急傾斜し数百メートルの断崖(だんがい)絶壁となっている。平安時代から山岳信仰の山で、熊野信仰の本宮にちなんで本山とよばれるようになったという。

[宮崎禮次郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「本山」の意味・わかりやすい解説

本山[町] (もとやま)

高知県北部,長岡郡の町。人口4103(2010)。四国山地中央部,吉野川の上流域に位置し,北は愛媛県に接する。古代,四国山地を越えて土佐国府に向かう官道が通じ,吾椅(あがはし)駅が置かれた。平安時代末期には紀州熊野社領の吾橋荘が設置されている。戦国期には土佐七雄の一に数えられ,長宗我部氏と覇を競った本山氏の本拠地であり,その城跡は町の南西にそびえる田井山(818m)の尾根先端にある。江戸時代前期には,土佐藩執政として藩政を掌握した野中兼山の知行地で,その屋敷地跡は現在上街(うえまち)公園となり,桜の名所として知られる。野中家累代の墓のある帰全山には兼山の銅像が立つ。北東部にある白髪(しらが)山(1470m)は古くより良材を産した。米作,茶やシイタケ,野菜の栽培のほか肉牛の飼育も盛んである。町域中央南寄りを,東流する吉野川に沿って国道439号線が走る。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本山」の意味・わかりやすい解説

本山
ほんざん

仏教の一宗派中の本寺のこと。総本山,大本山と呼称するところもある。本寺に帰属する多数の寺院を,第2次世界大戦前は末寺と呼んだが,戦後は被包括寺院という。本山は信仰の中心ともされ,また被包括寺院に対する宗務を司る。 (→本末制度 )

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「本山」の解説

本山
ほんざん

末寺をもつ寺院。他宗寺院の改宗と末寺化,末寺の創建などによって成立。真宗の本願寺日蓮宗の京都二十一カ本寺などが有名。近世には,政治機構としての本末制度のもとで一宗一本山に限定。末寺住職の任免権や寺号免許など,本寺による末寺支配が幕府の支持のもとに制度として定着させられた。

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事典・日本の観光資源 「本山」の解説

本山

(長野県塩尻市)
中山道六十九次」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の本山の言及

【寺院】より

…他方,鎌倉時代に興った庶民仏教といわれた浄土宗,真宗,時宗,日蓮宗(法華宗)の諸寺院は,室町時代になるとほぼ全国に成立した。これらは朝廷や幕府の官寺ではなく,地方武士や町衆や農民の外護のもと民間の寺として出発し,草庵から村堂や町堂に,さらに寺号をもつ寺院に発達した歴史をもち,なかには多くの地方末寺を擁した各宗門流本山も成長した。浄土宗の知恩院,光明寺,誓願寺,真宗の本願寺,仏光寺,専修(せんじゆ)寺,時宗の清浄光(しようじようこう)寺,金蓮寺,日蓮宗の久遠(くおん)寺,大石(たいせき)寺,本門寺,妙顕寺などである。…

【本末制度】より

…本寺・本山と末寺の関係についての制度。本末関係は,本山と末寺間の関係,末寺間相互の関係に分けられるが,前者を狭義の本末関係,後者を上寺下寺関係とすべきであろう。…

※「本山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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