婁(漢字)

普及版 字通 「婁(漢字)」の読み・字形・画数・意味


11画

[字音] ロウ・ル
[字訓] むなしい・あらい

[説文解字]
[その他]

[字形] 象形
婦人の髪を高く巻きあげた形。高く重ねる、すかすなどの意がある。〔説文十二下に「なり。(くわん)に從ひ、中女に從ふ。婁なり」(段注本)という。婁空とは髪を軽く巻き重ねて、透かしのある意であろう。目の明らかなことを離婁といい、まどの高く明るいことを麗(れいろう)という。すべて重層のものをいい、建物には樓(楼)、裾(すそ)の長い衣には「(ひ)く」という。〔詩、唐風、山有枢〕「子に衣裳るも 曳(ひ)かず婁(ひ)かず」とあるのはの意。糸には縷といい、婁は女の髪、これをうって乱すを「數數(さくさく)」という。〔伝〕に「一に曰く、婁務は愚なり」とあって畳韻の語であるが、用例をみない語である。

[訓義]
1. まきあげた髪、まげにからげた髪。
2. すく、すきま、むなしい、あらい。
3. 僂(ろう)と通じ、かがむ、まく。
4. (ろう)と通じ、ひく、かかわる、つなぐ。
5. おろか。
6. (る)と通じ、しばしば。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕婁 ヒク

[声系]
〔説文〕に婁声として・數(数)・髏・簍・樓・瘻・僂・褸・・縷・鏤など二十二字を収める。多くはうち重なり、かがみ、すきまのあるものの意をもつ。婁の声義を承ける字である。

[語系]
婁・髏・簍・樓・僂・・鏤loは同声。みなすきまのあるような状態をいう。・漏loも同声。もれる意がある。幾筋にもなって流れる(流)liuもこの系統の語である。

[熟語]
婁曳婁胸婁絡婁子婁羅婁婁
[下接語]
曳婁・巻婁婁・離婁

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報