婆娑羅扇(読み)バサラオウギ

デジタル大辞泉 「婆娑羅扇」の意味・読み・例文・類語

ばさら‐おうぎ〔‐あふぎ〕【婆×娑羅扇】

室町時代京都で流行した、はでな絵柄の扇。また、ばさら絵を描いた扇。

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精選版 日本国語大辞典 「婆娑羅扇」の意味・読み・例文・類語

ばさら‐おうぎ‥あふぎ【婆娑羅扇】

  1. 〘 名詞 〙 婆娑羅絵などの、人目をひくはなやかな絵模様の紙扇。だてな扇。はでな扇。
    1. [初出の実例]「口遊。去年八月二条河原落書 此比都にはやる物。夜討強盗謀綸旨〈略〉ばさら扇の五骨」(出典:建武年間記(南北朝頃))

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世界大百科事典(旧版)内の婆娑羅扇の言及

【ばさら】より

…また,室町幕府の発足時,1336年(延元1∥建武3)に足利尊氏が出した政治要綱《建武式目》の第1条では倹約を諭し,近ごろ〈婆佐羅(ばさら)〉といって〈過差(かさ)〉を好む風潮が際だっているのを深く戒めている。〈過差〉とは,平安時代以来,〈度を越えた,身分の格差を軽視ないしは無視した華美・贅沢さかげん〉の意味で用いられていた語であるが,その語義が〈ばさら〉に受けつがれて,南北朝の動乱期の美意識や価値観を端的にあらわす流行語となり,扇,団扇,絵馬などの奔放な画風の絵を〈ばさら絵〉(《太平記》),派手な伊達扇(だておうぎ)を〈ばさら扇〉(二条河原落書)などといってもてはやしたし,また,近江の大名の佐々木高氏(道誉)とその一族のような熱狂的ともいうべき〈ばさら〉愛好の武家たちも続出していた。また,この語は後代にも長らく受けつがれ,〈乱れた,異様の,見えっぱりの,勝手気ままな〉といった意味を生かした新語もいくつか派生した。…

※「婆娑羅扇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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