家庭医学館 「子どもの横隔膜ヘルニア」の解説
こどものおうかくまくへるにあぼほだれくこうへるにあ【子どもの横隔膜ヘルニア(ボホダレク孔ヘルニア) Diaphragmatic Hernia(Bochdalek Hernia)】
子どもの横隔膜ヘルニアのなかでもっとも多いのがボホダレク孔ヘルニアです。
これは、胎児期(たいじき)に横隔膜が形成されるときに、その後ろ側が完全に閉まらずに裂け目が残り、その孔(あな)から胃、小腸(しょうちょう)、大腸(だいちょう)、脾臓(ひぞう)などが胸腔(きょうくう)に脱出したままで生まれてくるものです。内臓が肺や心臓を圧迫するため、生まれたときから呼吸困難とチアノーゼがみられます。
X線撮影して消化管ガスが胸部にみられれば診断がつきます。
[治療]
生まれたらただちに酸素を与え、開腹手術して脱出した内臓を腹腔に引き戻し、横隔膜の穴を閉じます。ただし、胎児期から肺が圧迫されていて肺の形成が不完全であるため、救命率は60~70%くらいです。