大学事典 「学位工場」の解説
学位工場
がくいこうじょう
ディプロマ・ミル。贋物の学位や証明書を与える,大学・教育機関を偽装した,あるいは信頼に値しない教育を提供する事業者のこと。職業経験等の履歴書,簡単なエッセイ等を提出することで学位を取得できる,在籍(出席)要件があったとしても,大学において学位を取得する場合に比べてはるかに少ない課業量しか要求されない等,実質的な教育を行わない,いわば「偽学位販売業」である。簡素な手続きや基準で大学の設置が可能な州が存在するアメリカ合衆国では,大学教育の質保証において,アクレディテーション団体による適格認定が重要な役割を果たしているが,そうした教育制度の仕組みについて一般の人々が正確な知識を持つことは必ずしも容易なことではなく,それゆえ安易に学位等を取得できる手段としてディプロマ・ミルを利用してしまう人が存在する。むろん「偽学位」がそれと知られずに横行することは雇用主,顧客,大学等教育機関,ひいては社会全体にとって損失であり,各国の政府,公的団体等でディプロマ・ミルに関する情報ネットワークを構築するなどの対策がとられている。
著者: 濱中義隆
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報