実効保護率(読み)じっこうほごりつ(その他表記)effective rate of protection

日本大百科全書(ニッポニカ) 「実効保護率」の意味・わかりやすい解説

実効保護率
じっこうほごりつ
effective rate of protection

関税は、輸入品の国内価格を引き上げて、その製品を国内で生産している産業を保護する効果をもつが、その製品の関税率とその原材料の関税率が異なる場合には、製品の関税率はかならずしもその産業の保護効果の大きさを示さない。そこで、製品の関税率だけでなく、原材料に対する関税率も考慮し、全体としてその産業に及ぼす実質的な保護効果を表すものを実効保護率という。たとえば、綿糸を加工してシャツを製造している産業について、関税がないときのシャツの国内価格(輸入価格)は1000円だとし、その原料の綿糸が500円だとすれば、その付加価値部分は500円である。いま、このシャツには20%の関税を、綿糸には10%の関税を課したとすると、シャツの国内価格は1200円になり、一方、綿糸は550円になる。その結果、この産業の付加価値は650円に上昇し、付加価値の上昇率は30%である。このような付加価値の上昇率で表したその産業の保護率が実効保護率である。

志田 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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