家政改革(読み)かせいかいかく

改訂新版 世界大百科事典 「家政改革」の意味・わかりやすい解説

家政改革 (かせいかいかく)

経済条件の変化・発展に対して政治・道徳規範などを適応させ,一家の家計の維持・発展をはかること。ふつうは近世の日本で,私的経済の性格を強くもつ手作地主経営,商家経営,とくに旗本の領主経営などの改革を指す。旗本の家政改革の課題は,ほとんどが封建領主制の後退・危機の量的表現たる財政窮乏の解消に集約されている。窮乏は,奢侈による領主支出の増大もあったが,本質的には農民経済発展の産物(農民剰余)を実納年貢の増加で収得できないことから生じた。克服の努力は,年貢増徴・臨時公課の排除を求める農民と軍役維持を求める幕府のもとで,質素倹約と農民の年貢負担能力に対応した農民政策=収取体系の再編によって行われた。改革は領主権力の弱化に基づいたものであるが,こうした特徴は天保末年以降の改革に著しい。その内容は領主側の対応と地域経済のあり方で相当異なるが,幕藩体制を否定するものではなかった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の家政改革の言及

【年貢先納】より

…このような年貢先納は年内にとどまらず,翌年以後にまで及ぶこともあり,その金利負担が領主財政をさらに悪化させた。後期に諸藩や給人の藩政・家政改革の一環として,年貢の納期を年間に配分する月割上納制の採用がみられるのは,その打開策とみられ,年貢米の代金納部分の増大が進行した。中世については〈来納〉の項を参照されたい。…

※「家政改革」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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