射付ける(読み)イツケル

デジタル大辞泉 「射付ける」の意味・読み・例文・類語

い‐つ・ける【射付ける】

[動カ下一][文]いつ・く[カ下二]
光などが、物を強く照らす。
「華やかな夕日がつっとその白地浴衣に―・けた」〈真山南小泉村
矢を射って物に当てる。射当てる。
「母から疑惑の矢を胸に―・けられたような気分で」〈漱石行人
矢で物を射通して他の物に刺し留め、動かないようにする。
「林の中に大きなる野猪くさゐなぎ、木に―・けられてぞ死にてありける」〈今昔・二七・三四

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精選版 日本国語大辞典 「射付ける」の意味・読み・例文・類語

い‐つ・ける【射付】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]いつ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. 矢を射て物に当てる。射当てる。
    1. [初出の実例]「極く弓勢射る者也とも、不射付(いつけず)して」(出典今昔物語集(1120頃か)二五)
    2. 「母から疑惑の矢を胸に射付(イツ)けられたやうな気分で」(出典:行人(1912‐13)〈夏目漱石〉兄)
  3. 矢で物を射通し、それを他の物に刺し留める。
    1. [初出の実例]「野猪、木に被射付(いつけられ)てぞ死て有ける」(出典:今昔物語集(1120頃か)二七)
  4. ( 比喩的な用法 ) 日の光などが物を強く照らす。照りつける。
    1. [初出の実例]「華(はなや)かな夕日がつっとその白地の浴衣に射付(イツ)けた」(出典:南小泉村(1907‐09)〈真山青果〉七)

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