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行人 ギョウニン

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デジタル大辞泉の解説

ぎょう‐にん〔ギヤウ‐〕【行人】

仏道を修行する人。行者(ぎょうじゃ)。
比叡山延暦寺の堂衆(どうじゅ)。
高野山で、山中で修行する者。また、高野三方(さんかた)の一で、学僧が法事や修行などをするとき、雑事を務める僧。
近世の乞食僧(こじきそう)。一つ歯の高木履(たかぼくり)または鳥足を履き、頭に水を入れた木桶などを載せ、喜捨を仰いだ。

こう‐じん〔カウ‐〕【行人】

道を行く人。通行人。また、旅人。
使者。
「公私―」〈延喜式・兵部省〉
[補説]書名別項。→行人

こうじん【行人】[書名・戯曲]

夏目漱石の小説。大正元~2年(1912~1913)発表。互いに理解しえない夫婦生活を通し、知識人の自我意識と孤独を描く。
《原題、〈フランス〉Le Passantコペーによる戯曲。一幕の韻文劇。1869年、オデオン座にて初演。行きずりの人

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎょうにん【行人】

修行者というのが本来の語義であるが,諸堂の管理(堂預,鍵預など)や供華点灯をはじめ,炊事,給仕など寺院において世俗的な雑務に従事する僧侶を指す。したがって,その名称は職掌に応じて多様で,承仕(じようじ),夏衆(げしゆう)(花衆),花摘,道心,堂衆(どうじゆ),長床衆(ながとこしゆう)などとも呼ばれた。半僧半俗の者が多く,寺内にあっては,学侶(がくりよ)より一段下位とされていた。山伏,優婆塞(うばそく)のいわゆる修験者はこの行人の中に属しており,僧兵もおもにこの行人をもって構成され,中央への強訴や年貢の徴収にあたるなど武力を行使する場合もあった。

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大辞林 第三版の解説

ぎょうにん【行人】

修行僧。行者。
延暦寺で、寺の雑役をする人。堂衆。
高野山で雑役に従事した下級の僧。中世以後、学侶・聖ひじりとともに高野三方こうやさんかたの一として真言密教修学のかたわら、大峰・葛城かつらぎなどの山々で修験の行を行なった。
諸方を巡り経文を唱えるなどして金品を請う僧。

こうじん【行人】

道を歩いて行く人。また、旅人。
使者。
出征兵士。

こうじん【行人】

小説。夏目漱石作。1914年(大正3)刊。妻への不信感から人間社会自体へも憎しみを持つに至る一郎の、深刻な孤独感を描き、無心の境地には到達できない近代知識人の苦悩を示す。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

行人
ぎょうにん

苦行をする人の意で、行者と同じであるが、行者が苦行の結果の霊力で人のために加持祈祷(かじきとう)するのに対し、行人は苦行そのものによって神や仏に奉仕する。修験道(しゅげんどう)の山にはこのような行人がいて、堂舎に花を献じ、閼伽(あか)(水)と香を供えた。高野山(こうやさん)の行人はその代表的なものであり、やがて武力も蓄えるようになった。比叡山(ひえいざん)の行人は夏衆(げしゅ)(花衆)とか堂衆(どうしゅ)とかよばれて回峰行(かいほうぎょう)を行ったが、平安末期から僧兵化して学生(がくしょう)(学侶(がくりょ))を圧倒した。すなわち、行人は苦行によって罪穢(つみけがれ)を滅ぼして、神仏に仕えるという職能を忘れて、暴力化したのである。しかし、このような行人がなければ、外敵や武士の侵略から一山を守ることができないので、寺はその自由を許し、荘園(しょうえん)の経営を任せた。比叡山の日吉(ひえ)社の神人(じにん)も行人である。特殊な行人に出羽(でわ)三山の行人があり、一世(いっせ)行人ともよばれて、1000日、2000日の苦行ののち、断食(だんじき)断水によって即身成仏(そくしんじょうぶつ)する誓願をたてた。そして実際に即身仏となった例が湯殿山(ゆどのさん)の行人から出た。[五来 重]

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