20世紀日本人名事典 「小淵志ち」の解説
小淵 志ち
オブチ シチ
明治・大正期の実業家
- 生年
- 弘化4年10月2日(1847年)
- 没年
- 昭和4(1929)年3月16日
- 出生地
- 上野国勢多郡富士見村(群馬県)
- 主な受賞名〔年〕
- 内国勧業博覧会三等賞〔明治26年〕,三遠玉糸製造同業組合功労賞〔明治42年〕,大日本蚕糸戒愛知支部長表彰〔大正2年〕
- 経歴
- 安政3年(1856年)座繰機械による糸繰を始め、文久1年(1861年)から前橋の製糸工場に勤務。のち結婚するが、夫の暴力に耐えかねて明治12年に出奔し、愛知県二川町に移った。ここで製糸技術の指導を依頼され、小規模の製糸工場を創業。16年にはその規模を拡大して100坪の工場に50人の職工を雇い、三遠地方における製糸業の中心となった。25年座繰による玉糸製糸を考案、さらに32年には蒸気機関を導入して技術革新をはかるなど先見性に基づく経営で業績を伸ばした。37年には同業者とともに共同販売・共同購入を目的とした菊水社を設立。大正時代以降は工場火災やたび重なる自然災害・世界不況のために経営が危うくなるが、その都度適切な対処で乗り切り、同地方の製糸業を盤石なものとした。その間、内国勧業博覧会三等賞や三遠玉糸製造同業組合功労賞などを受賞。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報