国指定史跡ガイド 「小郡官衙遺跡群」の解説
おごおりかんがいせきぐん【小郡官衙遺跡群】
福岡県小郡市小郡にある官衙跡。指定名称は「小郡官衙遺跡群 小郡官衙遺跡(おごおりかんがいせき) 上岩田遺跡(かみいわたいせき)」。筑後平野北部の低台地上に所在。官衙とは役所のことで、小郡官衙遺跡は7世紀後半ごろ、筑後国御原(みはら)郡衙の施設として築造され、678年の筑後国大地震を経て、8世紀中ごろに新しく建て直されたと考えられる。建物群は政庁や倉庫群が整然と配置されていた。上岩田遺跡は7世紀後半から9世紀前半までのI~IV期に分けられ、とくにI期には前期と後期があるが、前期は金堂とみられる大型寺院や後に郡となる当時の地域単位である評家(ひょうけ)の建物群が見られる。瓦や硯(すずり)、文字を記した土器などが出土した。後期は、全体的に規模は小さくなり、官衙としてはその直後の小郡官衙に、寺院としては西側台地の井上に移ったと推測され、II期からIV期は官衙としての機能が低下していたと考えられる。1971年(昭和46)、小郡官衙遺跡が国の史跡として指定され、2000年(平成12)には上岩田遺跡が追加指定され、「小郡官衙遺跡群」と名称変更された。小郡市埋蔵文化財調査センターに出土遺物の一部を展示。小郡官衙遺跡へは、西日本鉄道鉄天神大牟田線西鉄小郡駅から徒歩約10分。上岩田遺跡へは、甘木鉄道甘木線松崎駅から徒歩すぐ。