改訂新版 世界大百科事典 「小銅鐸」の意味・わかりやすい解説
小銅鐸 (しょうどうたく)
弥生時代の銅鐸を小さくした形状の青銅製品。性質の異なるさまざまなものが,この名で呼ばれている。朝鮮半島で作られた朝鮮式小銅鐸は,高さ十数cmを普通とし,鰭(ひれ)は未発達で,身に文様がない。吊手(鈕(ちゆう))が磨滅し,使用の激しさを示す例も多い。これら朝鮮式小銅鐸は,日本の銅鐸の祖形か,あるいは共通の祖形から両者が生まれたのか,という密接な関係にある。一方,日本の小銅鐸と称されるものには,銅鐸自身の小型品(小型銅鐸)と,銅鐸を模倣したものの両者が存在するほか,銅鐸誕生前にその先駆的なものとして作られた銅鐸試作品が含まれる可能性があり,さらに,朝鮮式小銅鐸の模倣品もあるかもしれない。九州地方で見いだされている数個の〈小銅鐸〉を,銅鐸試作品とみて銅鐸の九州起源を説く研究者もあり,これを模倣品とみる解釈もある。
→銅鐸
執筆者:佐原 眞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報